< 参考文献 >
『 NHK趣味の園芸 コチョウラン 』
(著者名:富山昌克、出版社:NHK出版)
![]() | 新品価格 |
なぜコチョウランの水やりは失敗しやすいのか
コチョウランを枯らしてしまう原因で、
最も多いのが 水やりの失敗 です。
- 水をあげているのに元気がない
- 乾かしすぎた気がして不安になる
- 回数を決めても合っている気がしない
こうした悩みが出るのは、
水やりの判断基準があいまいなまま育てている からです。
「水は控えめ」という言葉の誤解
コチョウランの説明で、
ほぼ必ず出てくる言葉が
「水は控えめに」 です。
しかしこの言葉は、
とても誤解されやすい表現でもあります。
多くの人が、
- 水の量を少なくする
- 毎回ほんの少しだけ与える
と解釈してしまいますが、
これは 失敗につながりやすい管理 です。
コチョウランにとっての
「控えめ」とは、
- 必要のないタイミングで与えない
- 乾いていないのに与えない
という 頻度の調整 を意味します。
回数管理が失敗を招く理由
「週に1回」
「10日に1回」
こうした回数管理は、
一見わかりやすく感じます。
しかし実際には、
- 季節
- 室温
- 湿度
- 置き場所
- 植え込み材
によって、
乾くスピードは大きく変わります。
同じ株でも、
- 夏と冬
- 窓際と部屋の中央
では、
乾くまでの日数がまったく違います。
そのため、
回数を決めてしまうと、
- まだ湿っているのに水を与える
- 逆に乾きすぎるまで待ってしまう
といったズレが起きやすくなります。
水やりで失敗しないための考え方
水やりで迷わなくなるために、
まず覚えてほしいのは次の一点です。
「水やりは、予定ではなく状態で判断する」
この考え方に切り替えるだけで、
失敗は大きく減ります。
水やり判断の基本は「乾き」を見ること
コチョウランの水やり判断は、
とてもシンプルです。
「植え込み材が乾いたら、水を与える」
ただし、
この「乾いた」という状態が
分かりにくいために失敗が起こります。
植え込み材が「乾いた」とはどういう状態か
乾いた状態とは、
- 表面だけが乾いている
- 少し触って乾いている
という状態ではありません。
- 鉢の中まで水分が抜けている
- 触って冷たさを感じない
- 重さが軽くなっている
このような状態を指します。
特に水ゴケの場合は、
中が湿っていることが多い ため、
表面だけで判断しないことが重要です。
乾きの確認方法(初心者向け)
乾き具合は、
次の方法を組み合わせて確認すると失敗しにくくなります。
- 指で触ってみる
- 鉢を持ち上げて重さを比べる
- 見た目の色の変化を見る
慣れてくると、
「今日はまだだな」
と感覚で分かるようになります。
乾ききっていないときに与えるリスク
まだ湿っている状態で水を与えると、
- 根が常に湿った状態になる
- 酸素不足になる
- 根腐れや病気の原因になる
といったリスクがあります。
コチョウランの根は、
水よりも空気を必要とする器官 です。
「少し乾かしすぎたかも?」
と感じるくらいの方が、
安全なことが多いのです。
一度の水やりは「しっかり与える」
水やりを控えようとして、
次のような与え方をしてしまう人がいます。
- 毎回少量ずつ与える
- 霧吹きだけで済ませる
しかしこれは、
根にとってよくない水やり です。
少量ずつ与えると起きる問題
少量ずつの水やりを繰り返すと、
- 表面だけが濡れる
- 根の一部だけが湿る
- 常に湿った状態が続く
結果として、
- 根が傷む
- 病気が出やすくなる
という悪循環に陥ります。
正しい水やりの基本手順
水やりをする日は、
一度でしっかり与える ことが大切です。
- 鉢底から水が流れ出るまで与える
- 余分な水はしっかり切る
- 鉢皿に水を溜めない
これにより、
- 根全体が一度リセットされる
- 空気が入りやすくなる
という良い状態が作れます。
葉や花に水をかけない理由
水やりの際は、
根元だけに静かに与える ようにしてください。
葉や花に水がかかると、
- 水が溜まりやすい
- 乾きにくい
- 病気につながりやすい
特に冬は、
葉に残った水が原因で
細菌病が出ることがあります。
季節別の水やりの考え方
同じ水やりは一年を通して通用しない
コチョウランの水やりは、
季節によって考え方を切り替える必要があります。
「乾いたら与える」という基本は同じでも、
乾くスピード・株の動き・失敗のリスク が季節で大きく変わるからです。
ここでは、
春・夏・秋・冬それぞれの水やりのポイントを整理します。
春(回復期)の水やり
少しずつ「動き」に合わせていく
春は、冬の休止状態から
少しずつ回復していく時期 です。
- 新しい根が動き始める
- 新葉が見え始める
この変化に合わせて、
水やりも 少しずつ頻度を戻していく イメージになります。
春のポイントは、
- 冬よりは早めに与える
- ただし夏ほど頻繁にはしない
- 乾きをしっかり確認する
「急に増やさない」
これが春の水やりで最も大切な考え方です。
夏(蒸れ注意)の水やり
回数より「時間帯」と「風」
夏は乾きが早くなるため、
水やりの回数は増えがちです。
ただし、
与え方を間違えると一気に調子を崩す 季節でもあります。
夏の水やりで意識したいポイントは、
- 朝の涼しい時間帯に与える
- 夜の水やりは避ける
- 風通しを確保する
夜に水を与えると、
- 湿度が高いまま
- 温度が下がらない
状態になり、
病気や根傷みの原因になります。
秋(移行期)の水やり
夏の延長にしない
秋は、
夏の感覚を引きずりやすい季節です。
しかし、
- 気温が下がる
- 乾きが遅くなる
- 株の動きが鈍くなる
ため、
水やりも段階的に減らしていく必要があります。
秋の水やりのポイントは、
- 夏より間隔をあける
- 乾いてから様子を見る
- 急に極端に減らさない
「少しずつ減らす」
これが秋の水やりの基本です。
冬(休眠期)の水やり
失敗の大半は冬に起きる
冬は、
水やりの考え方が最も大きく変わる季節 です。
- 株はほとんど動かない
- 水の吸収が極端に遅い
- 失敗すると回復が難しい
そのため、
- 乾いてからさらに待つ
- 水やりの回数を大きく減らす
- 冷えない時間帯に与える
という判断が必要になります。
冬の詳しい判断基準については、
▶ 【コチョウランの冬越し完全ガイド】
で温度別に整理しています。
季節別水やりの考え方まとめ
季節ごとの水やりを一言でまとめると、
- 春:回復に合わせて少しずつ
- 夏:時間帯と風を重視
- 秋:段階的に減らす
- 冬:極力控える
という違いがあります。
次の章では、
さらに一段踏み込み、
温度別に見る水やりの注意点 を整理します。
温度別に考える水やりの注意点
「季節」よりも「今の温度」を優先する
水やりの判断は、
カレンダー上の季節よりも 実際の温度 を優先した方が正確です。
同じ冬でも、
18℃の部屋と10℃の部屋では、
水の与え方はまったく変わります。
18℃以上の場合
冬でも比較的安定した管理ができる
最低温度が18℃以上ある場合、
- 水の吸収は遅いが止まってはいない
- 乾きも比較的早い
という状態になります。
この温度帯では、
- 植え込み材が乾いたら水を与える
- 冬としてはやや早めの判断
で問題ありません。
ただし、
夏と同じ感覚には戻さない ことが重要です。
15℃前後の場合
もっとも多い家庭環境
15℃前後では、
- 吸水はかなり遅い
- 乾くまでに時間がかかる
ため、
「乾いたあとに待つ」 という意識が必要になります。
- 完全に乾く
- そこから数日待つ
- 暖かい時間帯に与える
これが基本です。
回数の目安は参考程度ですが、
2〜3週間に1回 になることが多い温度帯です。
10℃前後の場合
水は「必要最小限」
10℃前後になると、
水やりは かなり慎重 に行う必要があります。
- 乾いてもすぐには与えない
- 月1回以下になることもある
この温度帯では、
水不足より水の与えすぎの方が圧倒的に危険 です。
少し迷ったら、
「今回はやめておく」
という判断が正解になることが多いです。
7℃以下の場合
原則として水やりは止める
7℃以下になる環境では、
水やりは原則ストップ です。
どうしても必要な場合でも、
- 暖かい日
- 午前中
- ごく少量
にとどめます。
この温度帯では、
水は回復の助けではなく
ダメージの原因 になることを覚えておいてください。
温度別水やりの考え方まとめ
- 18℃以上:乾いたら与える
- 15℃前後:乾いてから待つ
- 10℃前後:ほぼ与えない
- 7℃以下:原則ストップ
迷ったときは、
「温度を一段低く見積もる」
くらいが安全です。
水温と時間帯を軽視しない
同じ水でも、与え方で結果が変わる
水やりで見落とされがちなのが、
水温と時間帯 です。
正しい量・頻度でも、
ここを間違えると失敗につながります。
冷たい水が根に与える影響
冬場の水道水は、
想像以上に冷たくなります。
冷たい水をそのまま与えると、
- 根が急激に冷える
- 吸水が止まる
- 回復が遅れる
といった影響が出ます。
冬は、
- 室温に近い水
- しばらく置いた水
を使うだけで、
株への負担を大きく減らせます。
水やりに適した時間帯
水やりは、
午前中〜日中の暖かい時間帯 に行うのが基本です。
避けたいのは、
- 夕方
- 夜
です。
水を含んだ状態で夜間に冷えると、
根がダメージを受けやすくなります。
霧吹きは必要か?
冬の霧吹きは、
基本的に不要 です。
- 湿度を上げたい場合でも
- 葉に水を残すリスクの方が高い
ため、
無理に行う必要はありません。
肥料の基本|与える時期・与えない時期
肥料は「成長しているとき」だけ
肥料についても、
水やりと同じくらい誤解が多いポイントです。
肥料は「元気にする薬」ではない
肥料は、
- 弱った株を回復させる
- 調子が悪いときに使う
ものではありません。
成長を助けるための栄養 です。
そのため、
- 成長していない時期
- 冬
- 病気が疑われるとき
に与えても、
効果はなく、
逆に根を傷めることがあります。
肥料を与えてよい条件
肥料を与えてよいのは、
- 新しい根や葉が動いている
- 気温が安定している
- 株が健康な状態
この3つがそろっているときです。
時期としては、
- 春〜初夏
- 条件が良ければ夏前半
が中心になります。
与えてはいけないタイミング
次のようなときは、
肥料を与えない でください。
- 冬
- 植え替え直後
- 調子を崩しているとき
「迷ったら与えない」
これが肥料管理の基本です。
肥料の種類と使い分け
基本は「液体肥料を薄く・少なく」
コチョウランの肥料は、
種類を増やす必要はありません。
基本は 液体肥料ひとつ で十分です。
液体肥料が基本になる理由
液体肥料が向いている理由は明確です。
- 濃度調整がしやすい
- 与える・止めるの判断が簡単
- 根に肥料成分が残りにくい
特に初心者の方にとっては、
失敗しにくい肥料 です。
濃度と頻度の考え方
コチョウランの肥料は、
薄めすぎかな?と思うくらいでちょうど良い
と考えてください。
基本の考え方は、
- 表示濃度の 1/2〜1/4
- 成長期に 2〜4週間に1回
です。
「たくさん与えた方がよく育つ」
という考え方は、
コチョウランには当てはまりません。
置き肥・活力剤との違い
- 置き肥:
→ 濃度管理が難しく、初心者には不向き - 活力剤:
→ 肥料とは別物。
回復目的で使われることが多い
基本的には、
液体肥料のみで十分 です。
あれこれ足すより、
与えない判断ができること の方が重要です。
![]() | ハイポネックスジャパン 液体肥料 ハイポネックス原液 800ml 新品価格 |
![]() | 大澤ワックス BOLL 園芸用計量カップ 1000ml B-1GN 新品価格 |
水やり・肥料と病気の関係
トラブルの原因は「水」がほとんど
コチョウランの病気や不調は、
実は 水やりと深く関係 しています。
根腐れの正体
根腐れは、
- 水を与えすぎた
- 濡れた状態が長く続いた
ことによって起こります。
「水が足りない」と思って
与えた水が、
結果的に根を傷めている
というケースはとても多いです。
水と病気のつながり
- 湿りっぱなし → カビ・細菌病
- 葉に水が残る → 黒点・腐敗
- 冬の水やり → 回復不能なダメージ
こうしたトラブルは、
水やりの判断を見直すだけで防げる
ことがほとんどです。
詳しい症状別の対処は、
▶ 【コチョウランの病害虫・トラブル完全ガイド】
でまとめています。
よくある質問(Q&A)
葉がしなびたら水不足ですか?
必ずしも水不足とは限りません。
- 根が傷んで吸えていない
- 冬の自然な反応
という場合も多く、
むやみに水を増やすのは危険 です。
気根はどうすればいい?
気根は切らず、
そのままで問題ありません。
空気中の湿度を感じ取る
大切な器官です。
霧吹きは必要ですか?
基本的には不要です。
湿度が気になる場合は、
- 置き場所の工夫
- 風通しの確保
を優先してください。
水やり・肥料のまとめ
失敗しないためのチェックリスト
最後に、
水やり・肥料管理の要点を整理します。
- □ 乾きを見て水やりしている
- □ 季節・温度を意識している
- □ 冬に与えすぎていない
- □ 肥料は成長期だけ与えている
これが守れていれば、
水やり・肥料で大きく失敗することは
ほとんどありません。
次に読むべき記事
- ▶ 【コチョウラン年間管理 完全ガイド】
- ▶ 【コチョウランの冬越し完全ガイド】
- ▶ 【コチョウランの育て方・年間管理完全ガイド】
この3本で、
年間管理はほぼ網羅 できます。









コメント